『コラム』


日本を代表し、一時は世界のトップを争っていた日本航空。8500億円以上の借金を抱えていました。
 このため日本航空は、「会社更生法」という法律を使って、会社を建て直してほしいと裁判所に申し込むことになりました。
 なぜ、こんなことになってしまったのでしょう?
 日本航空の経営が悪くなった直接の原因は、もちろん世界的に景気が悪いことがあります。でも、ここまで経営が悪くなったのは、日本航空自体が抱える問題があるのです。  1つには、日本航空が持っている飛行機の問題です。燃料をたくさん使うジャンボジェットという古くて大きな飛行機が37機。ほかの航空会社と比べても多いのです。  また、日本航空とその仲間の会社で働く人はあわせて4万7千人もいます。こうした人たちに払うお金が、たくさんかかっています。辞めた人たちにも年金というお金を払っていかなければなりません。
 さらに、あまり人が乗らない地方に多くの便を飛ばしていることも問題です。狭い地域の中にいくつもの空港があるところ、また自動車や鉄道など、ほかの方法を使った方が便利なのに、空港をつくってしまったところ。これらの空港に飛ばしている便の中には赤字が出ているところも多いのです。
 でも、日本航空はもともと国が中心になってつくった会社なので、損をしながらも、こうした空港に飛行機を飛ばしていました。これに対して、国も日本航空を助けてきました。
 外国で戦争があって、海外に行く人が少なくなったときや燃料の値段が上がったときなど、国が助ける形で、銀行からたくさんのお金を貸すようにしました。こうして積み上がった借金は去年の9月までに8500億円を超えました。
 実は、こうして国が関わっていたことが、日本航空が大変なことになった原因の1つだという声もあります。日本航空が国のいうことを聞く代わりに、困ったときにはお金をどんどん貸して助けてあげる。こうしたことを繰り返してきたため、せっかく貸したお金を生かすことができず、安く飛行機を飛ばせるよう、社内を改革する努力をするのが遅れたのではないかというのです。
 こうして、つぶれそうになってしまった日本航空。でも、つぶすことはできません。日本の空の便の6割を占め、日本航空しか飛んでいないところもあります。その飛行機が飛ばなくなると、たくさんの人が迷惑してしまうからです。
 そこで、国などがお金を出してつくった「企業再生支援機構」というところがどう建て直すか検討し、会社更生法という法律を使うことになりました。
 先日、国やお金を貸している銀行も最終的に賛成しました。
 その結果、日本航空はこれまで経営を任されていた人が辞めることになりました。新しい会長がほかの会社から招かれ、会社の建て直しを進めます。
 また、燃料をたくさん使うジャンボジェット機は今後5年間ですべて引退させ、燃費のいい小型の飛行機に買い換えます。さらに、1万人以上の社員を減らすほか、年金の金額も少なくするということです。
 一方、銀行には、貸しているお金の内3500億円を棒引き、つまり諦めてもらいます。
 また、企業再生支援機構や銀行があわせて1兆円を日本航空のために用意することにしています。
 いくらお金をつぎ込んでも、なかなか改革が進まなかった日本航空。
 もう失敗は許されません。
 新しい社長の下で社員が1つになって、改革を進めていってほしいですね。
(参考:NHK週間こどもニュース)




アオイ福原(株)
広島本店 鈴木一浩


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