「生死をわけたもの」


 第二次世界大戦中のナチスの強制収容所で最後まで生き残った実体験を書き記した『夜と霧』という有名な本があります。収容所での悲惨な生活やその中で人々がどのように生き、また死んでいったかが克明に綴られています。その中で著者のフランクルがこんなことを書いています。「収容所での過酷な生活の中で、生きる意味を見失ってしまった者は次々と衰弱し、死んでいった。…しかし、なぜ生きるのか、その目的を知っている者は、どのような試練にも耐えることができたのである」

 飢えと過酷な労働の中で、「なぜこんなに苦しまなければならいのか、死んでしまったほうが楽ではないか」そういう生への疑問と死の誘惑に負けてしまった人は死んでゆき、「いや、自分にはまだやらなければならない使命がある、待っている人がいる、わたしはなんとしても生き続けなければならない」と 、生への強い意志をもち続けた人は生き残ったのです。肉体的な強さではなく、生きる目的に裏打ちされた精神の強さが生死を分けたのです。

 皆さんは、心の拠り所となる目的をもっているでしょうか。目的こそが、どのような苦難にも耐える力を与えてくれるのです。




アオイ福原(株)
尾道本店業務部 有木 万記


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