「コラム」


 近年、世界中で起こっている不況に戦争、そして異常気象による大規模な災害。世の中は様々な混乱に包まれ、平穏な生活が一瞬にして悲惨な状況に変わり果てる事件が後を絶ちません。このような報道を毎日のようにテレビや新聞で目にする度に、私は原爆により焼け野原になった広島の姿を思います。

今年は広島に原爆が投下されてから65年の節目に当たります。私は昭和25年の広島に生まれ、爆心地から約5キロに当たる、現在のマツダスタジアムの辺りで育ちました。原爆投下後、50年以上は人が近づけないであろうと言われていた土地が、めざましいスピードで復興し、成長していき、政令指定都市の仲間入りをするまでになる姿を目にしてきたのですが、毎年8月6日迎えるたびに感心の念と共に、奇跡的にさえ思います。

しかし、この復興を成し遂げてきたのは、我々人間の力によるものであると考えると、人間のどん底から這い上がる意志や精神力のたくましさに驚き、人は1歩1歩ではあっても、地に足を付けて上を目指して着実に進む姿勢を怠ってはいけないのだと思います。目の前の困難な現実にあきらめ放り出してしまえば、楽で簡単なことではありますが、その時点で成長の可能性まで放り出してしまうことになってしまいます。

昨今の不況は我々の目の前に立ちはだかる困難な現実の最たるものと言えるでしょう。そこから逃げることなく歩き出し、ゆっくりでもいいので立ち止まることなく、目的に向かって前進しましょう。苦しいことではありますが、必ず結果がついてきます。

 そして、会社にしろ、人にしろ、成長するためには周りにいる大勢の人々の力によるものが必要不可欠なものであることを忘れてはいけません。自分ひとりの力で大きくなってきたわけではないことを常々自覚し感謝の念を忘れず、同じ社内の人間はもとより、お客様とも助け合って、この困難な時代をたくましく、あきらめずにトンネルの出口に向かって皆で1歩1歩進んでいきましょう。




アオイ福原(株)
広島本店 中村 祝明


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