「コラム」


 今年も早いもので3月に入りました。寒暖の差が激しく体調を崩しやすい季節ですので、予防・体調管理をしっかり行いましょう。さて、それでも体調を崩してしまったとしたら、その原因は何でしょう。「寒かったから」「周りに風邪の人がいたから」などあるでしょうが、最近の子供に聞くと「妖怪のせい」との答えが返ってくるかもしれません。いまや社会現象にもなっている「妖怪ウォッチ」をみなさんご存知でしょうか。子供向けのアニメにも関わらず、「日経MJヒット番付」西の横綱に選ばれ、昨年12月に公開された劇場版は現時点でもランキングトップ10入りを果たしているモンスターコンテンツです。人気の秘訣はキャラクターのかわいらしさ、こどもがまねのできる楽しいダンス、大人がクスリとするパロディなど挙げていけばきりがないことと思います。

 では商業的にみた場合の成功はどうでしょうか。アニメーションに関していえば、視聴率よりもグッズの売り上げのほうがその継続のためには重視されることも多いものです。もちろんこの観点から見ても妖怪ウォッチは過去に類を見ないほどの成功を収めています。ゲームをする上で必要となるメダルは品薄となり、カレンダーに採用したマクドナルドの売り上げアップに貢献し、先に挙げたように映画も大ヒットを記録しています。これらの成功の陰に保護者からの人気が垣間見えるように思います。キャラクターをモンスターではなく妖怪にすることで大人からも親しみやすくし、大人のみにわかるパロディを散りばめることで、今までのアニメよりも大人との距離を近づけているのではないでしょうか。それが「妖怪ウォッチ」の商業的なヒットにつながったのではないかと思います。言い方を変えると、最終的にだれの懐からお金が出るのかを理解して作られたコンテンツなのではないでしょうか。

 私たちが仕事をする上でもこのことは非常に大切なことです。どこまで先のつながりをみて仕事をするかが大事になってくることは多くあることでしょう。我々で言うと印刷会社が直接のお客様ですが、その先のクライアント、さらに先のエンドユーザー、もっと先もあるかも知れません。紙の持つ訴求効果はデザインと同等かその以上の可能性があると私は考えます。これからもっと差別化の必要な時代が訪れた時に、先の先のユーザーの顔を想像しながら仕事をすることはとても大切なことではないでしょうか。




アオイ福原(株)
広島本店 石田 知也


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