「ギリシャ文字」

 アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ・・・。最近良く耳にするこれらは、新型コロナウィスルの新株に対して名付けられています。少し前までは、インド型南アフリカ型等で言われていたのですが。

 世界保健機関(WHO)が今年5月31日、世界中で感染拡大を助長しているコロナウイルスの主な変異株について、地名ではなくギリシャ文字のアルファベットを名称として用いると発表し、この様な名称で呼ばれるようになりました。

 なぜこのような呼び方になったのでしょうか。WHOなどの公的な文書では、変異株を名指しする際に、例えば英国型の場合、科学者の間で使われる「B.1.1.7」などの呼称が使われています。ただ、一般の人にとって、こういった呼称は難解で言いづらく覚えにくいため、報道などではわかりやすさから、最初に変異株が見つかった国や地域を使用した呼び方がされていました。

 しかし、これは誤解や偏見と言った別の問題を生みかねません。例えばスペイン風邪のように、最初に見つかったからといって、その国で変異株が生まれたとは限りません。あたかもその国が発祥地のようにとらえられ、その国にルーツのある人が差別される懸念もあります。また、「汚名」を着せられることを嫌がって、変異株を見つけた国などが発表を控えれば、世界的な対応の遅れに繋がる恐れもあります。

 このような事を無くすために、「発音しやすく、特定の人々の印象を悪くしない」名称を検討し、世界中で数学、物理学、天文学等様々な分野に使用されている事もあり、耳馴染みのあるギリシャ文字のアルファベットを使用することとしました。現代使用しているギリシャ文字は24字で、「懸念される変異株」が発見された順に文字を使用するようになりました。

 日本でも7月に、ペルーで最初に感染確認されたラムダ株の感染者が確認されたとニュースがありました。これ以上の新型コロナウィルスの新株が出現せず、早く終息後の平穏な世界になることを日々感染対策しながら願うばかりです。

       

福山支店  井上 宜幸

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