新しい環境規制と耐油紙の話

 有機フッ素化合物に最近注目が集まっているのをご存じでしょうか?これまで、様々な用途で有機フッ素化合物(通称「PFAS」)が使われてきましたが、一部の種類で有害性が懸念され、欧米がより厳しい規制に動くこととなっています。日本でも横浜市のHPなどで確認できますが、水道中のPFASの検査についての検査結果が掲載されており、またそれが詳しく説明されています。

 紙分野でもPFASは、紙に耐油性を持たせる用途で使用されており、フライドポテトなどの食品包装のコーティング素材に使われてきました。しかし昨今認知されだしたPFASの危険性について製紙メーカーはしっかりと感知し、PFASを使用していない新しい耐油紙を上市し始めました。(もちろん、マクドナルドなどがPFASを2025年中に使用を停止する発表などが影響されていることは否めません。)

 その日本の各メーカーの取り組み状況と上市されたPFASフリーの新商品について以下に記します。

(参照:2024年9月27日付日本経済新聞)

 王子エフテックスは、PFASを使わない耐油紙『O-hajiki(以下「オハジキ」』を開発・上市しています。 オハジキは、下図のようにPFASを含浸させるのではなく、紙の表面に耐油層を設けることでPFASを使った製品同等の耐油性を持たせています。また、右図のようにラミネートをしているわけではないので、脱プラスチックの一助ともなります。ちなみにオハジキは、晒(白色)と未晒(白色)の2種、各2斤量(35g/㎡、40g/㎡)で販売されています。

 同様の製品は他メーカーからも続々上市されだしました。

 日本製紙パピリアは、「パピ・タイユ(FF)」を開発・上市しました。こちらは晒タイプのみですが、30~45g/㎡の間で4つの厚さの製品がラインナップされています。メーカーによってラインナップの考え方が違うのも興味深く、また用途によって選択可能となっています。

 また、大王製紙も「FS 耐油紙FF」で2つの厚さの商品をラインナップしました。こちらは唯一50g/㎡の商品をラインナップしているところが特徴となります。

 また、リンテックがOWB用紙を特種東海製紙がNF耐油紙を上市しております。

さて、ここまでは、ファミチキなどに使われるような薄めの耐油紙について記載しましたが、マックフライポテトMやLに使われるような厚めの耐油紙も上市されだしました。

 今のところ、日本製紙の「エコバリー(F)」(白色)「ブラウンエコバリー(F)」(茶色)の2つがラインナップとしてあります。どちらも、270g/㎡、310g/㎡、350g/㎡の3ラインナップがあります。

 ちなみに、マクドナルドは、2025年末までにPFASを使用している包装資材を全廃する宣言をしていますが、これら商品を使うことで充分達成が可能な状況となっています。

 ただ、価格が現状ではフッ素が使われている耐油紙の1.5~2倍以上となっているため、これからは生産コスト削減が課題となります。また、安心な食生活を皆さんが送ることができるよう、私たち紙の販売店もこのことをしっかりPRするのも大切だと感じております。

 リーフレットなどありますので、よろしかったら当社営業までご連絡ください。

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